昭和25年以降、65歳以上の高齢者の人口は増加を続け、その割合は全体の人口の27.7%(平成29年)に達しています。さらに今後もこの勢いは加速し、3人に1人が高齢者となる日も近いでしょう。

そんな状況で大きな課題となっているのが、「介護の問題」です。

長寿国として世界的にもトップクラスの日本ですが、先進国の中では福祉への対策ではかなり遅れていると言われています。

特に老々介護(高齢者同士が介護をしなければならない)、介護離職(働き世代が親の介護のために離職せざるを得ない)、さらにシングル介護(独身の子が親の介護する)などは、収入面を主とした生活基盤を崩壊することが懸念されています。

また生活スタイルが多様化したことで、家庭ごとでさまざまな介護問題に遭遇しています。

多くの介護問題に直面している日本では、介護に従事する人材の育成と確保が急務となっているのです。

例えば、福祉サービスを充実させるため、介護福祉士は必要不可欠な人材ですし、その仕事は高齢者だけでなく、障がい者など多岐に渡って必要な存在となっています。

今までのように介護施設を整備すれば良いわけではなく、介護される人やその家族にも順応したサービスが求められています。

そのため介護福祉士には、介護技術を前提に、さらに介護に対する幅広い知識と対応力が必要とされています。

そこで、国家資格である「介護福祉士」の仕事内容、受験方法、資格取得について詳しくご紹介していきます。

いろいろある介護の資格

人手不足が社会問題にまで発展している介護業界で、より有利に働くために役立つ資格は何か?

またその資格を取得するために、何から勉強を始めれば良いのか?

介護業界が必要し、働き手にとっても有利となる資格、

・介護職員初任研修

・介護職員実務者研修

・介護福祉士

・ケアマネージャー

を取得するための、効率の良い勉強方法、そして資格取得後の待遇やできる仕事についても解説していきます。

今の生活に不安、将来に不安、仕事の選択に迷っている方は、介護の世界をのぞいてみて下さい。

介護職員初任研修

難易度

難易度★☆☆☆☆

今回ご紹介する資格の中では最も取得しやすい資格が介護職員初任研修です。

介護職員初任研修は旧ヘルパー2級に変わる、いまから介護者を目指す人向けの資格で、難易度はそれほど高くありません。

しかし、ヘルパー2級と異なり、講座を修了するだけでは取得できなくなりました。

今後の介護業界のクオリティを高めることを目的にした資格で、研修後に筆記試験を受けます。

合格率

研修の受講者数と合否数について、正確なデーターが公表されていないため合格率は不明となっていますが、実際は受験者のほとんどが試験に合格していると言われています。

準備期間

介護初任者研修は、(1)通信+通学または、(2)通学で受講します。通信教育のみでの資格取得はできませんのでご注意下さい。

(1)通信+通学の場合

学習時間は130時間程度(自宅学習40時間とスクーリング90時間)

スクーリング期間は約16日(講座により異なる)。

講座をすべて修了するには約3~4ヶ月が目安。

希望者は実習も可能。実習を行う場合は4ヶ月以上が終了目安。


(2)通学の場合

通学の最大のメリットは、講師から直接学べること。

(1)同様に講義と演習を合わせて130時間のカリキュラム。

学校によって異なりますが、修了目安は2~4ヶ月。

将来性

無資格だけど介護職に就きたい方にとって、介護職の間口を広げてくれている資格です。

しっかり準備して仕事にのぞむことで、仕事にやりがいを感じることができるでしょう。

仕事内容

勤務先により仕事内容に多少の差はみられますが、介護の仕事の根本的となるものは、人と接する仕事ということです。

そのため相手の立場に立ったケアが要求されますが、一方的な介護というよりも、その人らしい生活を送るための援助支援が要求されます。

食事介助・排せつ介助・更衣・入浴介助など生活に密接した補助業務をベースに、医療ケアを行えますので、「痰の吸引」業務も行います。

介護職員実務者研修

難易度

難易度★★☆☆☆

介護職員実務者研修と介護初任者研修を同じ資格と勘違いされる方もしますが、まったく異なる資格です。

介護職員実務者研修は介護初任者研修よりもポジション的に上で、より実務的な内容を勉強します。つまり介護初任者研修よりも充実した知識と技術が求められます。

介護職員初任研修が旧ヘルパー2級であるのに対し、介護職員実務者研修は旧ホームヘルパー1級と介護職員基礎研修に相当する資格となります。

また資格取得後、サービス提供責任者、またはそれに準じた職種に就くこともできるので、初任者研修よりも高い給料で働くことも可能です。

そして、この資格を取得する最大のメリットと言えるのが、国家資格である介護福祉士の受験資格が得られることです。(介護福祉士を目指す場合は、所定の実務経験が必要となります。)

これは今後のキャリアアップにつながるため、介護業界で働く人にとって大きなメリットと言えますので、必ず取得したい資格なのです。

合格率

介護初任者研修同様に、正確なデーターが公表されていないため合格率は不明となっていますが、実際はほとんどの受験者が合格していると言われています。

準備期間

無資格の場合、6ヶ月程度が修了目安。

また所持資格(各ホームヘルパー、介護職員初任者研修、介護職員基礎研修)に応じて受講時間・受講料、実務者研修での免除科目が異なります。

将来性(オススメ度)

国家資格である介護福祉士を受験するためには、介護職員実務者研修は必要な資格となるため、介護業界でキャリアップを目指す人には必須の資格となります。

介護現場で「たん吸引」と「経管栄養」の医療行為を行うための知識を得ることもできます。

介護としてスキルアップを目指せるオススメの資格と言えます。

仕事内容

介護職員初任者研修よりも専門性が高く、さらに専門的な仕事を任されることになります。

ヘルパーや介護職員を取りまとめるサービス提供責任者として職場内のワークバランスを調整する仕事にプラスして、ケアマネージャーや看護師などの他部門のスタッフとの業務作成、後輩指導などより活躍することも可能です。

また訪問介護事業においては、配置が義務付けられている役職のため、有利な就職が期待できます。

介護福祉士

難易度

難易度★★★★☆

介護職の中で、唯一の国家資格となるのが、介護福祉士です。

以前は、実務経験3年以上であれば無資格でも受験できましたが、取得制度の見直しにより、所定の学校にてカリキュラムを履修、または実務経験3年以上で実務者研修を修了した場合に受験ができるようになりました。

これは、より質の高い人員を確保することが目的とされています。

合格率

第30回(2018年)の合格率は70.8%
第29回(2017年)の合格率は72.1%
第28回(2016年)の合格率は64.5%
第27回(2015年)の合格率は61.0%
第26回(2014年)の合格率は64.6%

最近5年は60%以上の合格率となっています。詳しくは厚生労働省のHPをご確認下さい。

準備期間

介護福祉士を取得するには、3つの取得方法があります。ここでは実務経験での受験方法を取り上げて紹介します。

実務経験ルートで資格取得を目指す場合は、下記の2つの条件を満たす必要があります。

・介護などの業務の従業期間が3年(1095日)以上かつ従事日数540日以上。

・実務者研修修了。

この2つを満すと受験資格を取得できます。チャンス(試験)は年1回のため、受験資格が整う前から準備(試験勉強)をしておくことをおすすめします。

将来性(オススメ度)

国家資格である介護福祉士は、現場のリーダーとしての仕事も期待されます。

また「認定介護福祉士」やり、ケアマネージャーへのスキルアップを目指せる資格のため、介護職の中で最も将来性が期待できる資格と言えます。

仕事内容

介護職の仕事にプラスして、職場内の業務調整や利用者への支援プランの立案など、より専門性のある業務が要求されます。

ケアマネージャー

難易度

難易度★★★★★

ケアマネージャーの正式名称は「介護支援専門員」。

介護保険制度の開始により、福祉サービスの充実と高齢者や障がい者が安心して制度を利用できるように複雑な介護サービスと利用者をつなぐ役割を担うのが、ケアマネージャーです。

介護を受ける人やその家族の介護相談や要介護認定の書類作成代行などを行います。

合格率

第20回(平成29年度)の合格率は21.5%
第19回(平成28年度)の合格率は13.1%
第18回(平成27年度)の合格率は15.6%
第17回(平成26年度)の合格率は19.2%
第16回(平成25年度)の合格率は15.5%

受験資格は、介護福祉士、看護師、医師など。

合格率は低く、介護の資格の中では最難関資格となります。

準備期間

受験資格は福祉・医療系などの各種国家資格(介護福祉士、看護師、医師)などを所持していて、さらに資格に関する実務経験が5年または10年が必要となります。

該当する資格取得後、実務経験を満たし、受験資格を得る時期を逆算して、準備を開始することが大切です。

また習得すべき内容が難解なため、独学の場合、挫折してしまう人が多い資格です。そのため独学よりも効率よく勉強できる通信学習がオススメとなります。

将来性(オススメ度)

介護保険制度で唯一の専門資格であるケアマネージャー。

高い専門性が必要な仕事、そしてより安定した収入を求める介護福祉士が多く取得しています。

責任の重い仕事ですが、介護職にやりがいをもって働きたい人にとって、非常に働きがいのある職種と言えます。

仕事内容

・利用者、その家族からの介護相談

・要介護認定の書類作成代行

・利用者のケアプラン作成

・サービス開始後の定期的訪問

・介護保険の給付請求

・利用者ごとの介護サービス調整

・その他業務

ケアマネージャーは「高齢者が安心して介護サービスを受けられるようにする」ことが根本となる仕事です。

そして介護利用者に留まらず、その家族の状況把握も大切な仕事となります。

通常の仕事を完璧に遂行し、利用者や家族に対応するためのコミュニケーション能力やトラブル回避、解消する順応性も必要です。